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肥満の原因は、腸内細菌にあった!?

 TBSで当クリニックが放送され、いま話題になっている『腸内フローラ』。女優さん達も、腸内フローラを改善して病気や体調が改善するだけでなく、精神も安定しました。

 まだ、見て居ない方は、こちらから。


 さて、その腸内フローラは肥満とも大きな関連があることがわかってきました。

 マウスを使った実験では、無菌状態で育てたマウスに肥満の人と痩せた人の腸内細菌を移植し、エサや運動量は全く同じ条件で育てました。

 ここで、驚きの結果がでます。

 痩せた人の菌を与えたマウスは特に変化がありませんでしたが、肥満の人の腸内細菌を与えたマウスはどんどん脂肪が増え、太ってしまったのです!

 そして、何度同じ実験を繰り返しても、肥満の人の腸内細菌をもらったマウスは太ったのです。

 では、なぜ肥満の人の腸内細菌を移植すると太るのでしょうか?いったいどんな細菌が関与しているのでしょう?あるいはどのような物質が関与しているのでしょうか?

 キーワードは、『バクテロイデス』と『短鎖脂肪酸』です。

 脂肪酸とは油脂を構成する成分の一部です。ちなみに、サラサラしたのが油、動物の脂身の様なものを脂といい、あわせて油脂といいます。この脂肪酸の構造は、炭素が鎖のように繋がった形をしています。そのうち炭素の数が6個以下のものを短鎖脂肪酸と呼び、酢酸、プロピオン酸、酪酸などが含まれます。

 この短鎖脂肪酸は腸内細菌が作ります。抗炎症作用やエネルギー源となるなど生物にとって重要な物です。もちろん、経口摂取することも可能ですが、腸内までそのままの形で移行することが困難であり、腸内に細菌によって作ってもらうことが重要なのです。

 バクテロイデスが生成するのは短鎖脂肪酸であり、これが肥満を防ぐのです!!

 肥満の人はバクテロイデスが少ないことがわかりました。つまり、マウスを使った実験では、このバクテロイデスが少ない腸内フローラの便を移植したことにより、マウスはどんどん太ってしまったのです。

肥満とは?太る原因を解明して肥満を治す
 肥満とはどんな状態かというと、生体の脂肪細胞が脂肪を取り込む事で起きます。つまり、脂肪細胞が血管の中を流れる血液中の脂肪を取り込み続け、どんどん巨大化することが原因なのです。

 バクテロイデスが産生した短鎖脂肪酸は腸から吸収され血液中に入ると、全身の血管を経由して、体の隅々まで運ばれていきます。

 そして短鎖脂肪酸は、脂肪細胞に働きかけて脂肪の取り込みを抑止します。つまり、余分な脂肪の蓄積を抑えることで肥満を防いでいるのです。

 さらに短鎖脂肪酸にはもう一つ別の役割があります。それは筋肉などに作用し脂肪を燃焼する作用があるのです。

 脂肪の蓄積の防止と、脂肪の燃焼。このふたつによって、肥満を防いでいたのは、実はバクテロイデスなのです。

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誠敬会クリニックのデータ。肥満の方はバクテロイデスが相対的に少ない

 つまり、『肥満のコントロール=腸内細菌の種類』であり、全身のエネルギーのコントロールはなんと腸内細菌が行っていたというわけです。

 ウエストのサイズは腸内に住む特定の細菌に左右される可能性がある、実はこんな研究もある位なのです。

 肥満で悩んでいるかたは、誠敬会クリニックで腸内フローラの検査をしてみませんか?
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 わたし(誠敬会クリニック会長 吉野敏明)の親友であり、師匠でもあるヒマラヤ登山家の小西浩文さんという方がいます。
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 この方は、「無酸素登頂」といって、酸素ボンベなしで8000m級のエベレストなどの山を13座中6座を制した、日本記録保持者であり、冒険家であると同時に危機管理のスペシャリストでもあります。8000mは“Death Zone”と言われ、酸素も気圧の三分の一以下、気温は冬では南極より寒い冷夏80度を下回り、風速はマッハにもなる、微生物も含め生物が長期生存できない、正に死の地帯であります。

 小西さんは、この壮絶な環境下においても、酸素ボンベなしで登頂をし、そして「生きて五体満足で帰ってくる」をテーマに登山をして、現在も元気で居られます。その小西さんのご著書のなかで、「酸素が無い、をお金が無いに例えれば…」というくだりがあります。つまり、お金が無いことを言い訳にしないで、なんとか生き抜いて行く、という例えなのです。

 わたしは、これと同じことが、がん治療にも言えると信じています。というのも、このような仕事をしていると、かんの患者さまが「絶対に生きる」という信念をもって治療に取り組むと、かなり進行したがんの方でも奇跡の生還に近い現象をみることがあるからです。

 事実、小西さんもがんを二回しかもステージ4を患って、奇跡の生還をしたからです。

 この様な事例は、医師であるわたしがいいうのも少し変ですが、「医者の施術に頼らないで治す」ことを決断した方が殆どだからです。

 つまり、3大療法を決して拒絶するのでなく、これらを受け入れた上で、さらに患者さんご自身の食習慣、睡眠習慣、価値観や性格まで変える決断をした人達なのです。

 ここに、がんの食事療法を含む生活習慣療法が関わってくるからです。

 前回のブログでも述べたように、血液は200日でリンパ球も含め生れ変ります。しかし、喫煙や飲酒、糖分の過量摂取やトランス脂肪酸の過量摂取などをそのままにしていれば、200日経っても同じ悪さをする細胞しか生れ変りません。

 ここで前回のおさらいと続きです。白血球は3~5日、赤血球は最大200日で入れ替わる、としました。

 そこで、他の臓器です。

 ・胃全体…5~7日

 ・食道・唇・口腔粘膜…約4~15日

 ・腸…2週間

 ・心臓…3週間

 ・皮膚細胞…4週間

 ・骨髄細胞…4週間

 ・肝臓…約2-3週間(90%が入れ替わり、残りの10%は300日)

 ・筋肉…2ヶ月

 ・骨…3ヶ月~1年

 つまり、正常で健康な臓器を作りだそうとしたら、その原料は食べ物と酸素しかないわけです。減量が汚染されて至り、間違えた原料が来たら正常な細胞は出来ませんし、それを育むこともできません。

 上の表をみれば、どうやら最初の1ヶ月が一区切り、次は3か月で人間の体はよい細胞に入れ替えることが出来そうです。

 冒頭で話した、小西さんも当然食べ物には気を使ています。実際、ヒマラヤ登山後は肉体は相当疲労して壊れますが、50歳を迎えた小西さんでもやはり3か月程度で修復できるのです。

 小西さんは超人ですが、でも人間です。治療として、普段からの肉体の作り方、修復の仕方は小西さんから学ぶところ大だとおもいます。

(吉野敏明 筆)

 このブログで、中鎖脂肪酸ケトン食療法や、絶塩療法などのがんの食事療法について述べてきました。

 さて、ここで原点に帰って考えてみましょう。がんはエボラ出血熱、AIDS、新型インフルエンザ、あるいは従来からある結核などと大きく異なることは感染症ではないことです。

 では、がんは糖尿病や高血圧のような生活習慣病であるか、といわれると殆どの人が「?」あるいは「No」といいます。遺伝子の異常でがんは発生する、という学説があります。たとえは、その根拠としてHER2があります。
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 HER2とは“human epidermal growth factor receptor type2”の頭字です。
人の上皮細胞増殖因子受容体とよく似た構造をもつ遺伝子タンパクで、これを産生する遺伝子をHER2遺伝子というのです。

 このHER2タンパクは、過剰に発現したり活性化したりすることで、細胞の増殖や悪性化に関わります。なかでも、HER2タンパクの過剰な存在は、乳がんの予後因子の1つで、特にリンパ節にがんが転移している場合でHER2が陽性だと、再発の危険性が高くなるといわれています。

 ですから、そのHER2タンパクの過剰発現を調べる免疫組織化学的方法(IHC法)やHER2遺伝子の増幅を調べるFISH法により、その陽性か陰性を判定するのです。。

 また、HER2の最も大きなな特徴は分子標的治療(トラスツズマブ療法といいます)との関係です。トラスツズマブは遺伝子組み換えによるHER2の抗体で、これはHER2タンパクをねらって攻撃し、がん細胞の増殖を抑えたりするはたらきがあります。

 また、ハリウッド女優のアンジェリーナジョリーさんが、BRCA1という遺伝子があり、がんを予防するために乳房を切除した、というショッキングなニュースが流れたことがあります。このBRCA1とは“breast cancer susceptibility gene I”のことで、がん抑制遺伝子の一種であり、その変異により遺伝子不安定性を生じ、最終的に乳癌を引き起こします。

 なぜ健康な状態にもかかわらず乳房の切除を決断したかというと、彼女の場合、このBRCA1遺伝子に変異が見つかり、その結果、生涯で乳がんが発症するリスクが87%あるとの診断を受けたからといいます。

 遺伝性乳がん・卵巣がん症候群は、HBOC(Hereditary Breast and Ovarian Cancer Syndrome)とも呼ばれ、同様に遺伝子変異の人は、そうでない人に比べ、発生の確率は10倍以上も高くなるといわれています。

 遺伝子性といわれているがんは、統計にもよりますが5〜10%程度と言われますが、一般に、多くのがんは遺伝性ではありません。

 すると、遺伝子性のがんといえどもやはり生活習慣が影響していと言わざるをえません。

 毎日、がん細胞になる異常細胞は5000個程度産生され、これががんを抑制するリンパ球などで毎日攻撃し、これらが増殖しないで腫瘍にならないようにしています。

 しかし、何らかの原因で細胞を修復する遺伝子が壊れてがん細胞が増えたり、免疫力が低下してがん細胞を抑制できなくなると、数年から10数年かけてがんになります。

 ところで、みなさん血液はどのくらいで入れ替わるか知っていますか?白血球の寿命は、顆粒白血球で10日前後、リンパ球の大部分は100~200日、一部は3~4日。血小板は寿命は3〜10日で、最も長い赤血球の寿命でも120日なのです。

 つまり、少なくとも120日たてば、我々の血液は全て入れ替わっていることになります。

 これら血球をつくるのは、骨髄や脾臓ですが、これら血球を産む臓器やできた血球に栄養を与えるのは、ズバリ“腸”です。

 つまり、がん細胞を抑制し、壊れた細胞を修復するそのエネルギーをあたえるのは、ズバリ食事なのです。

 がんを治すために必要なリンパ球や修復するために必要な物質は、食物として人間が口から得るしか方法はないのです。

 そのために、がんを起こすものを食べないこと、がんを治すものを食べること、そしてこれらを良く咬んで免疫物質であるIgAなどを含む唾液とよく混ぜること、そしてこれらをきちんとした食べ方で嚥下し、消化器におくることががんの予防・そして治療にも極めて重要なのです(この項、続く)

(吉野敏明 筆)

 日本のがん罹患者すうは、なんと150万人。人口1億2千万人からすると、単純計算では1.25%の方、つまり100人に一人以上ががんになっている計算です。

 そのうち、年間の死亡者数は36.4万人(2013年)で、1981年から本邦の死亡原因の第一位です。そして、死亡者数の約30%ががんです。

 がんの進行度・病期の診断は極めて重要です。とくに、口腔頭頸部には複数のがんの原発部位があります。

 がんの診断は、一般に①原発巣の評価、②リンパ節転移の評価、③遠隔転移の評価、によって行います。これを、TMN分類といいます。

 TNM分類は、悪性腫瘍の病期分類に用いられる指標の1つで、国際対がん連合(UICC)によって定められたものです。TとはTumor(腫瘍)、N(lymph nodes)、M(metastasis=転移)の頭文字です。

 各々の進行度は、
T0 腫瘍なし(固まりを作っていない)
T1~T4 がんの大きさ、浸潤の程度により、各臓器別に分類

N0 リンパ節転移なし
N1~N4 リンパ節転移の程度により、各臓器別に分類


M0 遠隔転移なし
M1 遠隔転移あり

 日本もがん取扱い規約においてもTNM記号を使った病期分類が定められており、広く用いられていますが、両者はそれぞれ異なった基準を持っています。


 以上を指標としてstage I~IVまでの4期に分けます。記述する際にはT2N1M0のように記述し、実際には各悪性腫瘍ごとに独自の分類を定めています。







 口腔頭頸部は、解剖学的に極めて複雑かつ高度に分化して生命の維持に必要な神経や臓器が多数あります。そのため、各原発巣は必ずしも一定の構造を示しているわけではありません。

 ですから、口腔頭頸部の原発巣の評価には、超音波、CT、MRIといった画像診断はもちろんのこと、臨床の診断も極めて重要です。

 歯肉、舌、頬、そして唇などに白いものができてはいませんか? 指や綿棒でこすってすぐとれるものではなく、うっすら表面に白い膜状の物ができているのが特徴です。
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典型的な白板症。癌化、あるいは既に癌になっている場合もある。

 これを、白板症といいます。白板症は、前癌病変といわれ、悪性化するものがあることや、既に癌化しているものもあります。

 日本の口腔がんの罹患者数は年間約6,900人といわれ、全てのがんの約1%といわれています(2005年の調査より)。

 しかし、口腔がんは正確な調査がなされておらず、実際にはもっと多いのではないかと言われています。

 年齢的には60代に最も多いといわれています。

 口腔がんの好発部位は舌であり、また白板症の癌化率は高いもので16.1%、低い物で3.1%との報告があります。

 いずれにせよ、食道がんや直腸がん、子宮がんなどと違い、内視鏡を使わずに直接目でみて診断できるがんですから、早期発見に努めるべきです。

 誠敬会クリニックでは、直接目で見る視診にくわえ、ベルスコープという特殊な波長でがんを発見支援する光学機器を導入しています。
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病的部位は、図の様に黒くうつります。肉眼では正常でも、ベルスコープによって、早期発見を支援できます。

 また、白板症では細胞診によって、どの程度の異常細胞であるかを診断することが重要です。
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 仮に悪性腫瘍であったとしても、連携医療機関の紹介、切りたくないかたはP53遺伝子およびエンドスタチンの遺伝子導入による局所注射治療、免疫療法、超高濃度ビタミンC治療、がんサプリメントなどの組み合わせによる、非侵襲的治療も可能です。

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 9月9日水曜日に、TBS地上波【水トク!「今夜限定!美の若返り 激変バックエイジング 」】2時間スペシャルに、誠敬会クリニック会長の口腔診療医の吉野敏明と同じく当クリニック内科医の小島常信先生がバックエイジングマスターとして出演しました。

 当診療所では、女優の荻野目慶子さまと、細川ふみえ様の治療をおもに担当し、プロバイオティクスセラピーなどを行って、医学的なアンチエイジング治療をおこない、短期間で非常に良好な治療結果を得ることができました。
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 がん細胞は、正常な細胞にくらべ、鉄を多く取り込みます。

 そのまえに、『トランスフェリン』というものについて説明します。トランスフェリンとは、血液の中の血漿に含まれるタンパク質の一種で、鉄イオンを結合し、鉄の輸送を担っています。そして、各細胞の表面にはトランスフェリンの受容体(トランスフェリンレセプター)があり、特に骨髄にある幼若赤血球ではヘモグロビン合成のために多量の鉄を要するので重要です。

 ところで、がん細胞には血管がない(未分化)なので、常に周囲に血管をつくって(腫瘍血管)、周囲の血管から血液を引っ張ってこようとします。この血管を作ることを抑制する治療が、このブログでも述べたエンドスタチン遺伝子によるがんを虚血させて治療(オンコーシス;組織の大量死)です。
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 つまり、がん細胞は血管が無いので常に低酸素でて血が集積しやすい状態になっています。つまり、がん細胞にはこのような理由によって鉄が多く取り込まれています。

 そのメカニズムは、前述したトランスフェリンレセプターを利用してがんは鉄を多く取り込んでいるからです。

 鉄が欠乏すると貧血になることはよく知られていますが、一方上記の理由によって、鉄が過剰になるとがんが発生しやすくなることも報告されているのです。例えば、鉄の代謝異常であるヘモクロマトーシスやC型ウイルス性肝炎では鉄過剰が起こります。疫学調査では、これらの疾患が肝臓がんにつながることが知られていますし、アスベスト繊維による中皮腫、子宮内膜症による卵巣癌にも鉄過剰が関与することが知られています。

 そこで登場するのが、アルテスネイトという物質です。アルテスネイトは、鉄イオンと反応してフリーラジカルを発生します。フリーラジカルとは、「対になっていない電子(不対電子)を持っているので、他の分子から電子を奪い取ろうとする分子」です。この代表格が活性酸素です。フリーラジカルはがんを発生させる原因とされる一方で、がん細胞自体がフリーラジカルに弱いことも知られています。

 つまり、アルテスネイトを投与することで、がんの細胞死を招くわけです。

 アルテスネイトを投与する前に、鉄を投与してがん細胞内の鉄の量を増やしておくと抗腫瘍効果を高めることが期待できます。

 正常細胞は鉄をあまり含んでいませんし、がん細胞はSODやカタラーゼやグルタチオンペルオキシダーゼなどの抗酸化酵素の量が正常細胞に比べて少ないので、がん細胞に特異的に細胞傷害作用を示します。

 アルテミシニン誘導体は抗マラリア薬として使用され安全性も検討されています。アルテミシニン誘導体を使ったがん治療はまだ研究段階ですが、すでに臨床例での検討も行われており、有効性が報告されています。副作用が非常に少ないので「体にやさしいがん治療」に有用な薬と言えます。

 アルテミシニンは、古くから中国で青蒿というヨモギ科の植物が解熱剤として使われていました。そして、このアルテミシニンに抗がん作用があることが徐々に明らかになってきたのです。このアルテミシニンを発見したのは、中国のトゥーユーユー博士で、2011年に臨床医学賞であるラスカー賞を受賞しました。

 アルテミシニンは様々ながん細胞に対して効果があることが報告されています。白血病、大腸がん、肺がん、悪性黒色腫、肝臓がん、膵臓がんなどに効果があることが報告されています。

 これを錠剤にしたものが、Artemixです。

 Artemixに関するお問い合わせは、こちらまで。
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(吉野敏明 筆)

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ある、患者さまの症例です。

 この患者さまの主訴は、軟便と便秘を繰り返す、いわゆるIBS(過敏性腸症候群)の患者さまです。精神的ストレスが強くなると、下痢を繰り返していました。

 一般の消化器内科と心療内科で、下血止めと抗不安薬を投薬されていましたが、根本的な解決を希望されて来院されました。

 術前の腸内フローラ検査では善玉菌が少なく、日和見菌の割合が高いので日和見菌を活性化するために、生活習慣療法と食事療法を行い、精神的な問題の改善であるメラトニン量の増大を期待してプロバイオティクスを処方しました。

 下痢もあるので、液状のものと錠剤のものを食事間隔に併せて処方しました。

 右が術前、左が術後でプロバイオティクス摂取10日後の腸内フローラです。善玉菌の割合が劇的に増えています。緑の日和見菌の割合が減っており、日和見菌が善玉菌へシフトしたと考えられます。

 患者さまの消化器症状も10年ぶりに改善し、精神的にも非常にリラックスされたとのことです。

【がんp53遺伝子治療まえの、血清p53抗体測定について】

がんでは、p53遺伝子の異常により、がんが発生することは前回のブログで述べました。

 前回の復習になりますが、抑制遺伝子としてp53遺伝子は重要な働きをしています。即ち、遺伝子を守るp53遺伝子に異常が発生し、がん化する際に多くの場合p53遺伝子に突然変異が認められているからです。

 生体は異物を認識すると、免疫によって抗原抗体反応を起こします。これを液性免疫といいます。p53遺伝子が異常になると当然、正常なp53蛋白質を作れず異常p53蛋白質を作りだし、生体はこれを異物として認識して抗体を作ります。これがp53抗体です。つまり、血中にp53抗体が増加してくるわけですから、この抗体を測定して、p53遺伝子導入治療の適応かどうかを診るのがこの検査です。

 p53抗体の検査は、腫瘍マーカーに変わる新しい腫瘍検査法として注目されています。

 いわゆる腫瘍マーカーとは、腫瘍(がん) 細胞が作り出して周囲に放出する物質で、腫瘍の増大とともに血中濃度が上昇してくるので、腫瘍の悪化や治癒の判定の補助として利用されています。たとえば、CEA、AFP、SCC、CA125などが有名です。腫瘍マーカーも、癌検診に利用され癌の発見に有益ではありますが、多くの場合はある程度腫瘍が増大してから検出されるようになりますので、従来の腫瘍マーカーの検査だけでは、ごく初期の癌を見落としてしまうことが多いのです。

 これに対し、p53抗体はによる検査は上記の腫瘍細胞から放出されたものではなく、正常な免疫細胞系が作り出している点が異なります。

 ただし、p53抗体検査も万能ではありません。感度、特異度ともに6~8割程度と言われています。ですから、p53抗体検査が陰性であっても、これらが原因でがんになっている可能性がありますので、この場合はおなじがん遺伝子治療でもエンドスタチン遺伝子導入によるがん遺伝子治療を優先したります。これは、またいずれ詳しく述べます。

 一方、p53検査が高陽性という場合は、積極的にp53遺伝子治療を勧めます。

 

エンドスタチン遺伝子導入によるがん治療の前に、「虚血」について説明します。

 虚血とは、血管の狭窄(血管が狭くなること)や閉塞(血管が詰まってしまうこと)によって血流が減少した状態のことです。たとえば、心筋梗塞や脳梗塞などがこれにあたり、虚血性疾患といいいます。虚血が続くと、血流の不足により酸素を運搬する赤血球が少なくなるため、臓器に必要な酸素を運ぶことができなくなり、組織は無酸素症となってしまい、最悪は臓器が壊死してしまいます。心臓や脳では死に至る病気となります。

 この虚血状態では、静脈血液量の低下よりも動脈血液量の低下のほうが危険です。 なぜならば、静脈には複数の心臓に帰るルートがあること、またそもそも肺で酸素を受け取っているのが動脈だからです。

 さて、エンドスタチンとは何でしょう?エンドスタチンとは内因性(生体が作る)の抗血管新生ペプチドで、内皮細胞の増殖、遊走、管腔形成を阻害します。ところで、がん細胞にはもともと血管がありません。それは、がんが未分化のまま増殖をつづけているからです。なので、がん細胞が増殖していくために新しい血管(血管新生)をつくって周囲の細胞から血液を引いてくる、ということをします。つまり、血管新生を阻害するタンパク質を働かせることで、がん細胞に新しい血管をつくらせなくして酸素や栄養を絶ち、がん細胞を壊死さるのがその原理です。

 そのためには、エンドスタチンを発生させる遺伝子を導入してこれを発生させなければなりません。そのためには、p53遺伝子導入とおなじく、アデノウィルスをつかって遺伝子を細胞内に送り込みます。(この項、続く)

(吉野敏明 筆)

 胃潰瘍、胃癌を起こす細菌として、ヘリコバクター・ピロリが有名です。わたしの祖母が数年前に80代で亡くなりましたが、40代から胃潰瘍や十二指腸潰瘍をくりかえし、胃も十二指腸も摘出し、最終的には大腸がんを繰り返しました。消化器外科の先生に、「もしかして祖母はピロリ菌感染で、40年間消化器の病気に悩んでいたのでは?」と尋ねたところ、摘出した大腸がんからピロリ菌が出てきたことを報告してくれました。

 現在では、ピロリ菌の検査も簡便で除菌も可能です。

 一方で、ピロリ菌ではない細菌によって胃潰瘍が起きている、という報告もあるのです。

 これらの胃疾患に関係しているとみられているのが、ピロリ菌ではないヘリコバクター、ヘリコバクター・ハイルマニイです。

 ピロリ菌陰性の胃疾患患者27人のおよそ半数がこの菌に感染していた、と今年の日本ヘリコバクター学会の全国調査で発表されました。

 実は、ハイルマニイの発見は意外と早く、オーストラリアのロイヤル・パース病院のウォーレンとマーシャルという2人の医師によって1984年にピロリ菌が発見された3年後の1987年、ドイツ人のハイルマンという医師が、上部消化管症状を持つ患者に内視鏡検査を実施したところ、0.25%の患者の胃粘膜組織中に「ピロリ菌ではない螺旋菌」が存在することを見つけました。このハイルマンの名前に由来し、ヘリコバクター・ハイルマニイと命名されています。

 ヘリコバクター属の細菌は、30種類以上が見つかっています。そして、近年では、ピロリ菌以外のヘリコバクター族で人に感染する細菌を、広義で“ハイルマニイ”と呼ぶようになっています。

 ハイルマニイにはピロリ菌と異なる特徴があります。

【ハイルマニイの特徴】
①ピロリ菌は、霊長類にしか通常感染しないが、ハイルマニイはイヌやネコなどにも感染する、人獣共通感染症
②大きさはピロリ菌より小さく、ピロリ菌がたった数μmであるのにたいして、ハイルマニイは20μmと10倍ほど大きい
③ピロリ菌は尿素分解酵素活性を持つ(ウレアーゼ活性)のに対し(これをつかって呼気でピロリ菌の同定検査ができる)、ハイルマニイではウレアーゼ活性が弱陽性もしくは陰性で、ほぼ検出されない
④最適な培養条件が見つかっておらず、大量培養が困難、
⑤ピロリ菌は粘液層にいるのに対し、ハイルマニイは胃腺腔深部や壁細胞内にも存在する
⑥ピロリ菌は片側にだけ鞭毛がある(しっぽのような構造)のに対し、ハイルマニイは両側に鞭毛が付いており移動速度が速い
⑦ピロリ菌は萎縮性胃炎などを引き起こすのに対し、ハイルマニイは萎縮性胃炎を引き起こさないという特徴を持つ
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左のハイルマニイのうちの一つは、細菌の両端に鞭毛があるのにたいし、右のピロリ菌は、一方にだけ鞭毛がある。

 マウスを用いた実験からは病原性や感染力が強いことも分かっています。ウレアーゼ活性が無いので、先ほどのべたようにピロリ菌検査では発見できませんから、もしかして、ピロリ菌陰性でも胃炎が続くひとは、ハイルマニイの感染なのかもしれません。

 誠敬会クリニックでは、今話題の腸内フローラを検査することが出来ます。細菌の検査だけでなく、免疫物質のIgAも測定でき、総合的な腸の検査が可能です。
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 グラフの1番下の青の部分がビフィズス菌群、その上の黄色の部分が乳酸菌群で、この2つの部分が善玉菌です。さらにその上の緑の部分がバクテロイデス群でいわゆる日和見菌、さらにその上のオレンジ、ピンク、紫、赤の部分がクロストリジウム群(ウェルシュ菌、ボツリヌス菌等)の悪玉菌です。

 たとえば、患者Bさんは善玉菌の量は多いのですが、圧倒的にIgAが少なく、腸表面の粘膜層に善玉菌が常在していない可能性が問題です。免疫細胞の量を増やすためのプロバイオティクス処方が有効な可能性があります。

 一方、患者Aさんは善玉菌が少なくいものの、免疫物質であるIgAの値は高いので、高い割合の日和見菌のを食事療法などで活性化させて、善玉菌を増やす。もちろん、プロバイオティクスも善玉菌を増やす目的で有効です。

(吉野敏明 筆)

 我々の腸内には、沢山の細菌が住んでいます。そのなかには善玉菌・悪玉菌・日和見菌など、様々な菌がすんでいます。

 腸内細菌の多くは嫌気性細菌であり、これらの発生の起源はなんと25億年も前。人類がこの世にでてからわずか600万年。脊椎動物の祖先が発声したのも6億5千万年前といわれていますから、生命体としては我々より遥かに先輩です。

 むしろ、25億年も前から地球に住んでいるこの微生物を住まわすために、我々の体があるといっても過言では無いかもしれません。腸内環境は嫌気性(酸素に乏しい)です。当時の地球は嫌気性の環境でした。しかし、6億5千万前くらいからは、現在のように大気中の酸素は約20%。

 これは、葉緑体を持つ微生物進化してうまれ、これらが太陽光を使って十数億年かかって酸素を産生したおかげです。

 つまり、腸内は25億年まえの地球の姿なのです。
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 我々人間、いや生物全は、バクテリアを運ぶ乗り物…

 じつは、そうでもないのです。我々には「腸管免疫」というものがあり、生物に必要なものと不必要なものを選別するシステムがあります。

 空腸動物という原始的な動物がいます。イソギンチャクなどがこれにあたります。

 イソギンチャクは、なんと腸だけの動物で、目も耳も足もありません。中枢、つまり脳もありません。

 からだは副交感系神経が張り巡らされているだけです。

 イソギンチャクは、口と肛門が同じところで、腸の袋だけの構造です。食べ物は腸にいきなりはいり、消化酵素で分解して吸収します。

 このときに、体に不要あるいは異物は排泄して取り込みません。これを腸管免疫といい、もっとも原始的な免疫といわれています。

 当然、同じ機構が我々人間にもあります。

 腐ったものなど、からだに不要なもの、毒がはいるとおなかを下して排泄するのも、腸管免疫の働きです。

 同様に、体に必要な腸内細菌、不必要な腸内細菌もじつは腸管免疫で選別しているのです。

 我々は、細菌に規制されているのではない、じつは細菌を選別しているのです!!

 腸管からは、IgAという免疫物質(抗体)が産生されます。一般に、抗体は異物と結合して排除する目的で産生されます。これを液性免疫といいます。直接、マクロファージのような貪食細胞が異物を食べて消化して排除するものを細胞性免疫と言います。

 通常は、この細胞性免疫によって貪食された抗原を情報から、ヘルパーT細胞のところに、「〇〇という抗原が入ってきたから、この情報をもとに抗体を作ってください」とこんどはB細胞に抗体産生の指令を出します。これを抗原抗体反応といい、特定の抗原に対する免疫ですから、特異的免疫ともいいます。

 この抗体のなかには、IgA(免疫グロブリンA)、IgG、IgEなどがありますが、腸管からはIgAが出て、腸内フローラに必要な細菌にこのIgAを使ってマーキング(標識)をします。

 これらのIgAによってマーキングされた細菌だけが、腸の粘液層というところに入れるのです。
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 この選ばれた細菌だけが、腸内フローラとして選ばれ、消化吸収のみならず、精神や癌の抑制などにも寄与しているのです。

 つまり、我々人間は、細菌に支配されているのではなく、細菌を選別して制御し、腸内細菌と共にあたかも一つの生命体のように生きているのです!!
(この項、続く)

(吉野敏明 筆)